パンフレットやカタログ、会社案内など様々な場面で目にする中綴じ冊子。その幅広い用途は企業だけにとどまりません。個人でも同人誌やZINEなどで中綴じ冊子を作ったことがあるという人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は中綴じ冊子を作る人に役立つ基本情報をまとめてみました!
中綴じ冊子だけでなく色んな冊子に共通することが多いので、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
綴じ方の種類
製本の綴じ方は色々あります。
主に、「中綴じ」「平綴じ」「無線綴じ」の3つに分かれます。
中綴じ
紙の束を二つ折りにして中心を針金(ホチキス)や糸で綴じます。一般的に中綴じ冊子はこの針金綴じの中綴じを指します。
大学ノートなどでみられる、紙の束の中心をミシン糸で綴じた「ミシン綴じ」も中綴じの一種です。
平綴じ
ノド(背)の近くを針金(ホチキス)や糸で綴じます。
資料印刷などで見られる一般的な「ホチキス綴じ」や、時代劇なんかに出てくる「和綴じ」も平綴じです。
無線綴じ
線(針金や糸など)を使わずに綴じる製本方法です。本文を表紙で包み、背の部分をのりで接着して綴じます。雑誌や書籍などページ数の多い冊子でよく使われています。
強度を高めるために、本文の背にスリット(切れ込み)を入れて表紙をつける「網代綴じ(アジロ綴じ)」も無線綴じの一種です。
また、平綴じの背を無線綴じのようにのりで接着する製本もあります。
空綴じ
綴じない製本。スクラム製本とも呼ばれます。新聞などのように二つ折りにした紙を重ね合わせた冊子です。広報紙やフリーペーパーなどで用いられ、デザイン性があり人気の冊子です。
中綴じ冊子について
中綴じ冊子は、紙の束を二つ折りにして中心を針金や糸で綴じた冊子です。
一般的に印刷通販などの中綴じ冊子は、針金(ホチキス)で綴じたものを指します。
中綴じ冊子の特徴
真ん中までしっかりと開けるのが特徴です。
無線綴じ冊子や平綴じ冊子では構造上、のど(見開きの付け根の部分)まで開くことができません。
中綴じ冊子は見開きデザインの冊子に適しています。
またホチキスで綴じるため、あまり厚みのある(ページ数の多い)冊子は作れません。主な印刷通販では、用紙によって異なりますが大体64~80ページまでが一般的です。
ページの増え方
中綴じ冊子は紙を二つ折りにして綴じるため、ページの数は4の倍数で増えていきます。
最小ページは8ページ。表紙の紙と本文の紙を重ねて二つ折りにして綴じた状態です。これに本文の紙を追加していくと4ページずつ増えていきます。
ページの数え方
ページを数えるときは、表紙の4ページ分も含めて数えます。
印刷屋さんに注文するときは間違えないようにしてくださいね。
例えば8ページの冊子の場合、表紙4ページ+中紙(本文)4ページです。
1ページ・・・表紙(表1)
2ページ・・・表紙の裏(表2)
3ページ・・・中紙(本文)の1枚目
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6ページ・・・中紙(本文)の最後の紙
7ページ・・・裏表紙の裏(表3)
8ページ・・・裏表紙(表4)
となります。
綴じ方向について
綴じ方は「右綴じ」「左綴じ」「天綴じ(上綴じ)」があります。
右綴じ・・・右から左へページが進みます。一般的に本文が縦書きの場合は左綴じにします。
左綴じ・・・左から右へページが進みます。一般的に本文が横書きの場合は左綴じにします。
天綴じ(上綴じ)・・・上から下へページが進みます。横長のページの上を閉じたもので、特に本文の書字方向に決まりはなく、縦書きでも横書きでも使えます。
冊子の部位名称
天・・・冊子の上側
地・・・冊子の下側
表1・・・冊子の表紙
表2・・・冊子の表紙の裏側
表3・・・冊子の裏表紙の裏側
表4・・・冊子の裏表紙
背・・・冊子の背表紙
版面・・・冊子の印刷面
のど・・・冊子の開いた時の綴じ部分
小口(前小口)・・・断裁面、冊子の開く側
※「小口」は断裁面を指すので、天も地も「小口」になりますが、一般的に冊子を開く側の「前小口」を「小口」と呼びます。
まとめ
・中綴じ冊子は見開きデザインが得意
・ページ数の多い冊子は作れない(最大80ページくらい)
・最小8ページ、4ページずつ増える
・ページを数える時は表紙から(表紙が1ページ)
・綴じ方は「右綴じ」「左綴じ」「天綴じ(上綴じ)」がある
データの作り方
中綴じ冊子など冊子もののデータを作るときは、チラシやポスターなどと若干異なる点があります。
一見難しそうに思えますが、ポイントさえ押さえておけば誰でも簡単に作れます。
見開きページor単ページ
中綴じ冊子のデータを作る際は、見開きページもしくは単ページで作ります。
ベストプリントでは単ページ(1ページずつ)、見開きページ、どちらでも入稿可能ですが、注文サイトによっては指定されている場合があるので、入稿前にチェックしましょう。
見開きページ
デザイン性のあるものは見開きでデザインを作るのが一般的です。
見開きの場合は、1ページ(表紙)と最終ページ(裏表紙)がセットです。デザインを作成するときも注意が必要ですが、特にデータに名前をつけるときに間違えないように気をつけましょう。
単ページ(1ページずつ)
1ページずつデータを作ります。文章などの多い冊子の場合は、単ページでの作成することがあります。
レイアウトの注意点
レイアウトの主な注意点はチラシなどと変わりません。
冊子ならではの注意点は「多少ズレることがある」という点です。チラシなど1枚の紙と異なり複数枚の紙を束ねて作るため、どうしても多少のズレが生じます。
ズレが生じることを理解しておくことで「イメージ通りに仕上がらない」「データ不備」といったことを回避できます。
断裁で生じるズレ
冊子は製本後に小口側と天地を断裁して整えます。
特に中綴じ冊子は紙を重ねて二つ折りにしているため、どうしても中央の方がズレてきます。そのズレた部分を断裁します。
そのため、特に小口(前小口)側は内側にデザインを配置しないと切れてしまう可能性があります。
切れてはこまる文字やデザインは、必ず仕上がり線より3mm以上内側に配置しましょう。
また、外側にズレてしまうこともあるので塗り足しも忘れずに。
小口デザイン
辞書なんかでよく見かける、小口に見出しなどを見せるデザイン。
これは用紙の端までデザインを入れることで似たようなことが可能ですが、多少ズレる可能性があることを心得ておきましょう。
見開きデザイン
中綴じ冊子は無線綴じや平綴じと異なり、しっかりと見開きできるという特徴があります。
でも真ん中のページ以外は、別々の紙に印刷したものを並べているため、左右のページが若干ズレてしまいます。
ズレや針金でのど付近の文字が読めないということが無いように、切れてはいけない文字などは綴じ位置から3mm以上離して配置しましょう。
白紙ページもカウントする
印刷しないページを「白紙ページ」と呼びます。
例えば「表紙の裏(表2)と裏表紙の裏(表3)は印刷しない」なんて場合もありますよね。
印刷しないページも1ページとカウントします。印刷を注文するときも白紙ページも含むページ数で注文してください。
データ作成時も白紙ページ分の空のデータを作りましょう。もしくは注文時に備考欄などに白紙ページがあることを記入しておきましょう。
まとめ
・データは見開または単ページで作る
・注意点は基本的にはチラシなどと同じ
・断裁時にデザインが切れてしまわないよう3mm内側に配置
・見開きは多少ズレる
・白紙ページもカウント
さいごに
以上、中綴じ冊子のきほんをご紹介しました。
これから中綴じ冊子や冊子を作成するという方はぜひ参考にしてみてください。
これまでチラシやポスターなどペラものの印刷しかしたことがなかったという方も、冊子が作れるようになると一気に印刷でできることの幅が広がりますよ。
今回の記事が少しでも皆さんの印刷ライフのお役に立てれば幸いです。