印刷デザイン

半世紀の歴史を持つ印刷機で作る活版印刷『きど印刷所』

昭和レトロが再評価

近年、活版印刷が再び注目されています。

活版印刷は金属製や樹脂製の凸版を使います。凸部分にインキをつけ用紙に押しあて、圧をかけて転写する印刷方法です。
この圧によって印字部分が凹み、陰影と特徴的な手触りが生まれます。この凹凸により、正確な再現性をもつオフセット印刷では表現しきれない、温かみのある魅力的な印刷物を作り出します。

この独特の凹凸や温かみのあるレトロな風合いが、幅広い世代の人々に人気を集めています。

活版印刷はフィルムカメラやレコードのように、昭和を知る世代には「懐かしく」若い世代には「新しい」存在となっています。

デジタル化の進む今日、多くの人々は過剰な「大量生産された製品」に対して飽和感を感じているのではないでしょうか。
その反動として「手作り感」や「温かみ」「プレミア感」のある活版印刷が注目されているのかもしれません。

今回はそんな活版印刷を取り扱っている『きど印刷所』をご紹介します。

老舗印刷会社の歴史ある印刷機

 

『きど印刷所』は茨城県水戸市にある創業87年の老舗印刷会社です。

戦前から地域に愛される『きど印刷所』が西ドイツの老舗印刷機メーカー「ハイデルベルグ社」の名機「プラテンT型機」を導入したのは、1966年のこと。現在はもう製造されていない貴重な代物です。

50年以上前の活版印刷機が、現在も現役で活躍しています。半世紀以上も昔の印刷機で印刷されたと思うと、それだけで感慨深いものがあります。

しかし長い歴史の中で「プラテンT型機」はずっと動き続けていたわけではありません。

『きど印刷所』でも時代の流れとともに「早く・正確に」印刷のできるオフセット印刷の普及が進み、活版印刷機は活躍の場を失ってしまいました。

『きど印刷所』の活版印刷機が再び動きはじめたのは5年前。実は意外と最近のこと。2000年以降、活版印刷が再び注目を浴びはじめるなか、工場で大切に保管されていた「プラテンT型機」は再び活躍の機会を与えられました。

長く使われていなかったため傷んでいる箇所も多数。取り外す事の出来るパーツは全て取り外し掃除やパーツの交換などメンテナンスを繰り返し、ふたたび動き出しました。真っ黒で重厚なボディやグリッパーの回転・規則的な機械音はまるで蒸気機関車のようです。

活版印刷に求める「温かみ」

活版印刷が盛んだったころは「いかに凹みを作らずに印刷するか」が職人の腕の見せどころでした。圧が弱すぎてもインキがきれいにのらず、圧が強すぎては用紙に凹凸がでる。印字部分を凹まさずかつしっかりとインキが定着されたものが、高品質な印刷物でした。

しかし現在では独特の「凹み」が活版印刷の強み。あえて凹凸をはっきりと見せる技法が印刷物に求められています。わずかに生じるムラやにじみやかすれも印刷物に「温かみ」を与えます。これは一般的なオフセット印刷では決して表現する事のできない活版印刷ならではの「味わい」「温かみ」に変わります。

また活版印刷は厚みのある用紙でこそ、その特徴が生かされます。
厚みのある用紙はしっかりと凹みを出し裏面に影響しにくい。凹凸のある手触りが心地よい、指先でも楽しむことのできる印刷物になります。

デジタル化、ペーパーレス化が進み、紙に触れる機会は減りつつあります。スマホ1台でなんでも持ち歩け、ネット上のデジタルデータはいつでも手軽に書き換えが可能。その自由度の高さは、変化のスピードが早い現代に向いている反面、冷たさ・そっけなさを感じることもあります。そんな中、見て触れて「五感」で感じることができる活版印刷が再評価されていることが、妙に納得できます。

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『きど印刷所』について詳しく見る

株式会社きど印刷所
URL:http://kido-p.com
住所:水戸市見川町2558-21
TEL:029-241-2525
FAX:029-241-2559
mail:insatsu@kido-p.com
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ベストプリントスタッフ

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