10月の第二週は古紙リサイクル週間。10月は国全体でリサイクル(3R)を推進する強化月間であり、その一環として、リサイクル週間が設けられています。
環境に優しい選択としてすっかり定着している再生紙や古紙リサイクル。普段何気なく使っているトイレットペーパーや段ボール、オフィスで印刷するコピー用紙など、私たちの身の回りには多くの再生紙製品があふれています。
しかし、「再生紙を使うと本当に森林保護になるの?」「リサイクルを繰り返すと紙質はどうなるの?」「正しい分別方法がよく分からない」といった疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

再生紙を使うと本当に森林保護になるの?

正しい分別方法がよく分からない
この記事では、古紙リサイクルの具体的な流れや再生紙の仕組み、環境へのメリット、さらには雑紙(ざつがみ)の正しい分別ポイントまでを分かりやすく徹底解説します。
再生紙と古紙リサイクルの基礎知識
再生紙とは?
再生紙とは、使い終わった紙(古紙)を回収・処理し、再び紙の原料として再利用して作られた紙のことです。木材から直接作られる木材パルプ(新パルプ・バージンパルプ)の使用量を減らし、資源を有効活用することを目的としています。
古紙パルプ配合率とは
再生紙製品のパッケージや裏面を見ると、『古紙パルプ配合率100%』や『古紙パルプ配合率70%以上』といった表示(グリーンマークや古紙リサイクルマークなど)を目にすることがあります。
これは、その紙製品を作る際にどれくらいの割合で古紙が原料として使われているかを示す数値です。
- 古紙パルプ配合率100%: 原料のすべてに古紙が使用されている(トイレットペーパーや新聞紙、段ボールなどに多い)。
- 古紙パルプ配合率60〜80%: コピー用紙やノートなど、白さや強度が求められる印刷用紙に多い。
リサイクルマークの一例

古紙が再生紙に生まれ変わるまでのプロセス
私たちが家庭やオフィスで分別・排出された古紙は、どのようなプロセスを経て新しい再生紙へ生まれ変わるのでしょうか。
ステップ1 回収と選別
家庭の地域回収やオフィスの回収ルートを通じて集められた古紙は、古紙問屋(回収業者)に運ばれます。ここで、新聞・雑誌・段ボール・牛乳パックなどの種類ごとに厳密に選別・圧縮され、巨大なブロック状になって製紙工場へ出荷されます。
ステップ2 離解(りかい)
製紙工場に届いた古紙は、パルパーと呼ばれる巨大なミキサーのような装置に投入されます。大量の水と一緒に撹拌(かくはん)することで、紙の繊維を水中でバラバラにほぐし、スープのようなどろっとした液体(パルプ懸濁液)にします。
ステップ3 異物除去と脱墨(だつぼく)
ほぐした液の中には、ホチキスの針、プラスチックフィルム、粘着テープなどの異物や、印刷に使われたインキが含まれています。再生紙として使うためには、これらを紙の繊維と分ける必要があります。
- 異物除去: 網(スクリーン)や遠心分離機を使って、金属やプラスチックを取り除きます。
- 脱墨(フローテーション工程): 薬品を加えて泡を発生させ、インキ粒子を泡に付着させて浮上させ、すくい取ります。
ステップ4 漂白と調成
インキなどを取り除いた後、必要に応じて環境負荷の低い漂白剤を使用し、白さを整えます。
さらに、用途に応じて新パルプを一定割合で混ぜ合わせ、粘度や紙の強度を調整します。
ステップ5 抄紙(しょうし)
抄紙とは、水分を極限まで絞り出し、熱で乾燥させながら薄いシート状に成形・ローラーでプレスする工程のことをいいます。
調成されたパルプ液を、抄紙機(しょうしき)と呼ばれる巨大な機械に流し込み、最後に巨大なロール状に巻き取って、用途に合わせたサイズにカットすることで再生紙製品が完成します。
再生紙を利用する環境上のメリット
古紙リサイクルを進め、再生紙を活用することには、地球環境において主に 4つの大きなメリット があります。
① 森林資源の保護(木材使用量の削減)
紙の原料となる木材(バージンパルプ)を得るためには、樹木を伐採する必要があります。
持続可能な森林管理のもとで栽培された木材も多いものの、古紙を繰り返し利用することで新たな伐採量を抑制し、生物多様性の維持や森林の機能を守ることができます。
② 水資源やエネルギー消費の削減
木材チップからパルプを抽出する工程に比べ、すでに一度繊維になっている古紙からパルプを作る工程の方が、必要なエネルギーや水資源を小さく抑えられます。
製造時の二酸化炭素(CO₂)排出量を減らすことができ、地球温暖化対策(脱炭素)にも直接貢献します。
③ ごみ減量(廃棄物削減)と埋立地の延命
もし古紙をリサイクルせず可燃ごみとして処分してしまうと、焼却処理によって大量のCO₂が発生するだけでなく、焼却灰を埋め立てる最終処分場を圧迫します。
古紙を資源として循環させることは、廃棄物問題の解決に直結します。
④ サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進
資源を「取って、作って、捨てる(Linear Economy)」から「何度も循環させて使う(Circular Economy)」へのシフトは、現代社会における重要課題です。
古紙リサイクルはその最も成功している先進事例の一つです。
古紙の種類とそれぞれの生まれ変わり先
回収された古紙は、すべて同じ再生紙になるわけではありません。元の紙の質やインキの種類によって、適した用途にリサイクルされます。
| 古紙の種類 | 代表的なもの | 主な生まれ変わり先 |
| 新聞古紙 | 新聞紙、折り込みチラシ | 新聞用紙、コピー用紙、段ボール芯地 |
| 段ボール古紙 | 通販の梱包箱など | 再生段ボール(外装箱・中芯) |
| 雑誌古紙 | 週刊誌、ファッション誌、専門書、カタログ | 菓子箱、ボール紙、出版物、トイレットペーパー |
| 飲料パック古紙 | 牛乳パック、ジュースパック(内側が白色のもの) | 高級トイレットペーパー、ティッシュペーパー |
| オフィス古紙(OA古紙) | コピー用紙、PC出力紙 | コピー用紙、トイレットペーパー |
実は間違いやすい!リサイクルできない紙
「紙なら、どんな紙でもリサイクルできる」と思われている方も多いのではないでしょうか?実は、『リサイクルできない紙』というものも存在します。
特定の特殊加工が施された紙(禁忌品:きんきひん)が混ざると、製紙工場の機械が詰まったり、製品全体に欠陥が生じたりして、大量の古紙が無駄になってしまうことがあります。
以下に代表的なリサイクルできない紙をまとめました。これらは資源ごみではなく可燃ごみとして処分する必要があります。
主な禁忌品(きんきひん)リスト
- 油分・汚れのついた紙: ピザの箱、使用済みの油拭きペーパー、食品のついた紙皿
- 感熱紙: レシート、FAX用紙(爪で引っかくと黒くなる紙)
- 防水加工紙: 紙コップ、紙皿、カップ麺の容器、アイスクリームの容器(ワックスやポリ加工)
- カーボン紙: 宅配便の伝票、複写式の領収書
- 圧着ハガキ: 密着フィルムが残るもの
- 香料・薬品のついた紙: 洗剤や柔軟剤の箱、香水がついた紙、線香の箱、湿布の箱
- 粘着テープ・シール類: シール台紙(ワックス紙)、粘着力の強いテープ付き封筒
ごみ減量のカギ!雑紙(ざつがみ)の集め方とコツ
家庭から出る可燃ごみの中には、まだまだリサイクル可能な紙類が大量に含まれていると言われています。それが雑紙(ざつがみ)です。
雑紙とは?
新聞、雑誌、段ボール、紙パック以外のリサイクル可能な紙類の総称です。
- 具体例: お菓子の箱、ティッシュの箱、パンフレット、トイレットペーパーの芯、値札、封筒、カレンダー、紙袋など
効率よく雑紙を集めるアイデア
- 専用回収袋を作る買い物でもらった紙袋を1つ用意し、部屋やゴミ箱の横にセットしておきます。日常で出たお菓子の箱や封筒は、その紙袋の中にポイポイ投げ入れるだけにします。
- 箱は潰して平らにするお菓子の箱やティッシュ箱は開いて平らにすることで、かさばらずにたくさん溜められます。
- 金物・プラスチックは外すティッシュ箱の取り出し口にあるビニールフィルム、カレンダーの金属リング、封筒の透明窓(フィルム)などは取り外して分別します。
- 満杯になったらそのまま出す紙袋が雑紙でいっぱいになったら、紙袋の口を紐で結ぶか、そのまま紙類の回収日に出せば完了です(自治体のルールをご確認ください)。
再生紙に関するよくある疑問と誤解(Q&A)
Q1. 紙は何回までリサイクルできるの?
A. 一般的に「5〜7回程度」と言われています。
リサイクルのプロセスで水に浸してほぐしたり乾燥させたりするたびに、紙の繊維は少しずつ短く切れて劣化していきます。
繊維が小さくなりすぎると紙の形を保てなくなるため、永遠にリサイクルできるわけではありません。そのため、常に少量の新パルプを補充しながら循環させています。
Q2. 再生紙は白度が低い(黄色っぽい・グレーっぽい)イメージがありますが?
A. 技術の進化により、バージンパルプ製と変わらない白色度の再生紙が増えています。
過去には脱墨技術の制限から「再生紙=暗い・ざらざらしている」というイメージがありましたが、現在の製紙技術では非常に高度なインキ除去が可能となり、オフィスで使うコピー用紙でも違和感のない白さを実現しています。用途に合わせてあえてナチュラルな風合い(クラフト調)を残した製品も人気です。
Q3. FSC認証紙と再生紙は何が違うの?
A. 原料の由来と環境へのアプローチが異なります。
- 再生紙: 使用済みの古紙を再利用して作った紙(資源循環のアプローチ)。
- FSC認証紙: 適切に管理された森林から採掘された木材(バージンパルプ)を使って作られた紙(持続可能な森林管理のアプローチ)。
どちらも環境に配慮した選択肢です。
古紙の供給には限りがあるため、どうしても新パルプが必要な場面ではFSC認証紙を選ぶのが望ましいとされています。

まとめ 1枚の紙から始める持続可能な社会づくり
再生紙や古紙リサイクルは、私たちが最も身近に参加できる資源循環型社会(サーキュラーエコノミー)への貢献策です。
私たちが日々の生活やビジネスシーンでできるアクションはたくさんあります。
- オフィスで: 印刷用紙に再生紙や環境配慮紙を選ぶ、裏紙の活用、ペーパーレス化の推進
- 家庭で: 可燃ごみの中に混ざっている雑紙を分別して紙袋へ溜める
- 買い物で: 買い物袋や包装紙、日用品を選ぶ際にリサイクルマーク・古紙配合率を意識する
一人ひとりの分別の工夫と、再生紙製品を選ぶ小さな一歩が、広大な森林を守り、CO₂排出削減へとつながっていきます。まずは今日出たお菓子の空き箱を可燃ごみではなく雑紙として分別することから始めてみませんか?
※お住まいの地域や自治体によって、古紙の回収区分や出し方のルールが異なる場合があります。実際の排出にあたっては各自治体のガイドラインをご確認ください。




