皆さんは、「ワーケーション」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
普段の仕事場を離れて、旅先で余暇を楽しみつつリフレッシュもかねて仕事をする、「ワーケーション」という言葉。ニューノーマルな働き方として取り入れる企業が増えており、普段の職場を離れリゾート地や好きな場所で仕事をする、また新しい旅のスタイルとしても注目を集めています。
以前から、欧米では広く浸透していたこの言葉ですが、日本においても政府による働き方改革の影響で、リモートワークが可能な会社員やデジタルノマドなどのフリーランスを中心に徐々に広がってきています。
そこで今回は、今注目の「ワーケーション」について実態、メリット・デメリットを深堀りして徹底解説していきたいと思います。
目次
ワーケーションとは
ワーケーションとは、
「ワーク(Work)+ バケーション (Vacation)= ワーケーション(Workation)」という造語です。
普段の職場を離れて、自分の好きな場所で「仕事」をしながら「休暇」も楽しんでしまおう、というコンセプトのもとにつくられた言葉です。
主な休暇先として、リゾート地や温泉地などの観光地や地元、帰省先などといった自宅以外の場所があげられます。
ワーケーションの目的は「働く」より「休む」こと
もともとワーケーションという言葉自体は、多忙なアメリカのビジネスマンの休暇を取りやすくするための手段して考え出されたもので、外せない会議や仕事に追われて普段休みを取れない人が、旅先で必要最低限の仕事をこなしながら家族との余暇も楽しむ、という「休む」ことを基準に考え出されたワークスタイルです。
「リモートワーク」との違い
「在宅勤務」を表す際に、よく用いられる言葉に「リモートワーク」があります。これは「オフィスから離れて仕事をすること」で上司や会社から認められた特定の場所で働くこととが基本とされています。
一方、ワーケーションは「旅先で余暇を楽しむこと」が目的で、認められた特定の場所以外でも働くことができます。
両者は、「目的」と「場所」が異なります。
リモートワーク・・・「オフィス以外の認められた特定の場所」で「仕事をする(目的)」こと
ワーケーション・・・「旅先や自分の好きな場所など認められた特定の場所以外」で、仕事をしながら「余暇を楽しむこと(目的)」
ワーケーションに期待される声
「普段と違う場所に行くことで、自分の視野が広がる」や「満員電車や混雑など都会の煩わしさから解放される」ことをはじめ、ワーケーションに期待される声には、以下のようなものがあげられます。
・旅先でリフレッシュすることでモチベーションが上がり、仕事の生産性も高まる
・家族との時間やプライベートの時間を確保できる
・長期の有給休暇を取らなくても仕事を理由に旅行に行きやすくなる
ワーケーションのメリット・デメリット
ワーケーションのメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
ワーケーションのメリット
働く側とワーケーションを受け入れる地域に分けて解説します。
【働く側】
生産性が高まる・・・仕事の合間に旅行したり、豊かな自然環境や落ち着いた雰囲気の中でリフレッシュすることで仕事の生産性が上がる
創造性が高まる・・・非日常の体験から新しい気づきやアイデアが得られたり、自分の視野や人生の幅を広げるきっかけになる
混雑を回避できる・・・平日から観光地を回れるので、計画次第で混雑を避けることができる
【ワーケーションを受け入れる地域】
地元の経済復興につながる・・・観光客がなかなか戻らない地方の観光地にとっては、ワーケーションで集客できれば地元での消費に伴う経済振興につながる
観光地の活性化ができる・・・観光地の活性化につながり、地方創生へのイメージが具体的になる
宿泊施設の空室を利用できる・・・コロナ禍で経済的ダメージを受けた宿泊施設は空室を稼働させることができる
ワーケーションのデメリット
【働く側】
オンオフの切り替えが必要・・・慣れないうちは、仕事のオンオフの切り替えがむずかしくコツがいる
職種が限定される・・・万人ができるのではなく「場所」に縛られる職種の場合、実現がむずかしい
ワーケーションに向いている人
ここでは、どういった職種の人がワーケーションに向いており、実際に取り組んでいるのかをご紹介します。
・リモートワーカー(リモートワーク可能な企業に勤めている社員)
・デジタルノマド系フリーランス(ライター/デザイナー/イラストレーター/マーケッター/エンジニア/プログラマー/コンサルタント/動画編集者/カメラマンなど)
・週末フリーランス(副業会社員など)
傾向として、パソコン1つで仕事が完結する職種は「時間」と「場所」を選ばずに働くことができます。
物理的に「ワーケーションが出来る職種」と「そうでない職種」が存在するのは事実ですが、職種よりも重要なのは仕事の進め方や考え方です。どんな職種でも、スケジュールや自己管理能力がなければ、ワーケーションを実現することはむずかしいと言えるでしょう。
企業側のメリットは薄い?ワーケーションに求められる課題
ここまで、ワーケーションについて・メリット・デメリットを解説してきましたが、政府や地方自治体がどれだけ活発に勧めたとしても、会社で働いている人からすると、働いている企業に制度が導入されなければワーケーションは体験できませんよね。加えて、企業側もワーケーションを導入することに、あまりメリットを感じられなければ制度の導入はむずかしいのかもしれません。
ワーケーションを取り入れる上で懸念される声、今後考えられる課題に以下のようなものがあげられます。
【企業側】
・勤怠管理がむずかしい
・セキュリティ管理がむずかしい
・仕事と休暇の線引きがむずかしい
・休暇先で仕事環境の整備がむずかしい
・急に出社させる事態が起きないか心配である
・紙書類、印鑑の捺印のやり取りはどうするのか
・休暇中の社員とコミュニケーションきちんと取れるのか
結論:企業側の体制を整える必要がある
上記にあげた懸念点から、企業側の体制が十分に整っていないことがワーケーションの導入に積極的になれない企業側の意見であることが分かります。
勤怠管理・・・どのように勤務時間を把握するか
労災の扱い・・・旅行先までの移動中の事故は労務災害に含めるのか
経費の扱い・・・宿泊費・旅費交通費などを経費として出張旅費扱いにさせるのか、あるいは個人もある程度は負担すべきか
など企業がワーケーションを導入する上で考えられる今後の大きな課題です。
制度的にグレーゾーンであることは事実ですが、まだまだ企業の体制を整える必要がありそうです。
政府などがモデルとなるような就業規則やワーケーション制度の枠組みを働き方改革として積極的に推奨し、提示することができれば、ワーケーションを認める会社が少しずつ増えていくのではないでしょうか?
簡単ではありませんが、こういった課題をひとつひとつ整えることができ、メリットを感じさせることができればワーケーションを導入する企業も増えていきそうです。
企業側もニューノーマルな働き方を受け入れる準備と制度を整備できるような環境づくりが必要になってきそうですね。
給与体系も変わる?
また、ワーケーションを認めている企業では、一般的な月給制や年俸制ではなく”成果主義”といった新たな給与形態を導入する企業が増えています。
成果主義とは、会社で何時間働いたかによって給与が支給されるのではなく、どれだけ仕事をこなしたか、というタスクの進行度で仕事の評価をされる働き方です。
まとめ
実態から分かるように、実際に実現するとなると各企業の体制を整えたり、個々人の意識を高めたり、と課題もある「ワーケーション」ですが、得られるメリットが多いのも事実です。
働き方も柔軟に選べる2020年代の働き方として、今後ますます需要が高まり活発化していくのではないでしょうか?
個人的には、「場所」や「時間」に関係なく、仕事のアウトプットを重視する柔軟な働き方の選択肢として、ワーケーションの導入を検討する企業や個人の価値観が増えていくといいなと思っています。
次回は、「メリハリをつけて楽しむ!ワーケーションをするときのポイント&Tips」というテーマでお伝えしたいと思います。