今回のBe Freelanceのインタビュー企画では、フリーランスフォトグラファーの二宮さきえさんをお招きして、「スキル0からのフリーランスのはじめ方」というテーマで、未経験からどのようにしてフリーランスになったのか、またプロとして仕事をする上で大切にしているポイントを伺いました。
リアルタイムでは、1時間半にも及ぶロングインタビューになんと250名を超える方が視聴されていました!
これからフリーランスを目指す方へ向けて、「営業方法」「ポートフォリオの作り方」「辛い時期の乗り越え方」など、フリーランスとして活躍されているSakieさんの目線で赤裸々に語ってくださいました。
共感できるポイントや仕事をする上で大切なエッセンスが具体的なアクションプランで凝縮されており、これからフリーランスの方を目指す方の背中を押してくれるような内容になっています。ぜひ、参考にしてみてください。
それでは、お楽しみください。
自己紹介
扇田美紀/miki
旅するフリーランスWebデザイナーとして活動。2020年に株式会社 Ririan&Co.を設立。
企業・個人向けにWebデザイン・Webマーケティングについてアドバイスやコンサルティングを行う。Webデザインを中心に発信する自身のYouTubeチャンネル「mikimiki webスクール」は、2020年1月時点で登録者3万人を突破する大人気チャンネルに!
二宮さきえ/Sakie
フリーランスフォトグラファー/トラベルインフルエンサー
フォトグラファーとして世界中の国々を旅し、旅系媒体・旅行会社等とのコンテンツや記事の作成、発信活動を精力的に行う。
フォトグラファーの仕事内容
それでは早速Sakieさんの仕事内容を教えていただけますか?
はい、メインの仕事は海外取材をしています。コロナの状況で今はストップしているのですが、普段は観光局やエアライン、ホテル業界や旅行代理店の方から仕事をいただき「この国に行ってきてください」というご依頼を受けて、その国で取材してきたことを発信するというのがメインの仕事です。
「カメラ × 海外旅行」ってすごく憧れる人すごく多いと思います。
1ヶ月に4カ国ぐらい取材をする月もあります。
帰国して1日休んで、また次の日から違う国に取材へ行ったりとなかなかハードです。
取材の合間、東京にいる時にフォトグラファーとして撮影の仕事をしています。
すごい、ハードスケジュールですね!インスタグラム(
@sakiiiya)でもトラベル系インフルエンサーとして活躍されるSakieさん。
お写真本当に素敵ですよね。人物の写真やブツ撮りの写真もすごく構図がお上手で素敵だなと思っていつも見ています。一枚ごとに深みがあってかっこいい写真が多い印象です。
私もカメラが好きで、Sakieさんと一緒に写真を撮ったりするのですが、同じ構図で写真を撮っても出来上がりが全然違うんですよね。どこでその構図を見つけてきたんだろうというくらい、写真の構図と被写体のいいところを見つけるのが上手なんですよね。人が目をつけない所に気付く才能があるなといつも思います。
新卒で勤めた会社を8ヶ月で退職!?フリーランスになったきっかけ
Sakieさんがフリーランスになったきっかけは何でしたか?
2014年に大学を卒業してブライダル系の会社に一度就職し、ウェディングドレスのコーディネーターとして働いていたのですが、組織に入って改めて人に何かを教わることや会社に属して何かをするというよりかは、自分で新しいことを開拓していったり、自分でこれをやりたいとかこうしてみたいとか、工夫して模索していく方が性格的に合っているな、と感じて8ケ月でスパっと辞めてフリーランスになりました。
はい(笑)2015年の1月からずっとフリーランスとして働いています。
フリーランスになった時点では、職種は決まっていなかった。
それでは、フリーランスになろうと思って仕事をやめられたんですね。
はい、でもその時点ではやりたいことやなりたい職業は決まっていませんでした。
その時はまだ明確に何をするかを決めていなかったので、今のように「フォトグラファーとして海外取材をしている」なんてことは想像もしていませんでした。いつかフォトグラファーになれたら嬉しいな、程度には思っていましたが、それがメインの仕事になるとは思ってもいませんでした。
自分の理想の働き方を追求した結果、フリーランスという働き方に。
私が理想とする働き方って何だろう?と考えた時に「あ、フリーランスだ」って思ったんです。「やりたいことがあって、それをやるためにフリーランスになろう」というパターンが多いと思うのですが、私の場合「〇〇がやりたいから」という理由ではなく、「フリーランスという働き方」そのものにすごく憧れがありました。
なるほど!とりあえず、やってみよう!を行動に移せるのが若さですね!
初めての案件はインスタグラムのDMから
会社員時代からインスタグラムに写真を載せていて、自分の「好き」に共感をしてくれるフォロワーさんが少しずつ増えていきました。写真を見てくれた企業様からフォトグラファーとしての依頼が来るようになりました。
当時は女性向けの小さなミラーレスカメラを使っていました。
写真の仕事というと大きな一眼カメラのイメージがありますが、手軽なミラーレスカメラを使っていても仕事依頼がくるのですね。仕上がりが企業のイメージと合っていれば、カメラは「何を使わなければいけない」というのはないのですね。
ちなみに、初めての仕事はどのように依頼が来ましたか?
初めての案件はインスタグラムのDMからでした。複数枚の写真を月契約で納品するという仕事でした。
なるほど。では前職を辞める前の段階で、自分の好きなものを発信していていて、その中で企業の方が見ていて、この人素敵な写真を撮るな、というところから、少しずつ仕事依頼が来たという感じでしょうか。
そうですね。まるっきりゼロの状態で仕事を辞めた訳ではなく、少しずつ月契約の仕事をいただけるようになっていたので、少しでも可能性があるのなら・・と憧れていたフリーの道に飛び込みました。
すごい…。企業が個人に仕事を依頼するって、当時にしては珍しいスタイルですよね。最近は個人に仕事が来るのも、一般的にはなってきましたが、5、6年前だとまだそんなに一般的ではなかったと思うので、先駆けですね。
そうですね。本当にすごい時代だなと思います。「インスタグラム」や「インフルエンサー」って言葉もあまり知られてない感じだったので、私もよく分からないままスタートしていました。
そこから、カメラのことなどを学びながら、少しずつ仕事を取っていったという感じなんですか?
そうですね。いろんな企業さんから仕事を少しずついただけるようになり、今に至ります。
オフラインの人脈は大切。営業が苦手なわたしがしていること
フリーランスになって安定して仕事をしていくためにしていたことはありますか?
私は営業がすごく苦手なので、ここ5〜6年で人脈を広げる以外で営業は一回もしたことがないんです。なので、「作品を発信して、自分の世界観と合うクライアントとマッチしていく」という方法で仕事をいただいています。
フリーランスになりたての頃は1つの企業としか仕事をしていなかったので、かなり時間を持て余していましたね。なので、友達に誘われるパーティーやイベントには必ず顔を出していました。そこからクライアントさんを紹介してもらえることもあったので、最初はとにかく人脈を広げていくことに時間を使っていました。
そこで出会った人には「フォトグラファーです」と伝えていましたか?
最初は、そんなんじゃなかったですよ。名刺も持ってなかったですし。インスタが名刺やポートフォリオ代わりになっていました。
リアルの人脈の構築とネットの集客は同時進行でやっていくべき
イベントに連れていってくれた友達が、イベント先の人とかに「この子こういう写真を撮るのでよかったら写真の仕事とかふってあげてください」という風に紹介してくれていたんです。それでどんどん人脈が広がっていきました。
口コミ上手な人っていますもんね。やっぱりリアルのお友達から紹介されるの仕事というのが大きいのですね。
最初は仕事も少なかったですし、それなら同じような業界で人脈を広げていった方がいいかなと思って、人脈を広げることに力を入れていました。
確かに。口コミで広がっていくこともありますよね。それに、ネット集客だと効果が出るまでに時間がかかりますもんね。
そうですね。仕事につながるリアルな人脈の構築と、ネット集客は同時進行でやっていった方がいいですね。
同感です。どこに自分のスキルを必要としてくれている出会いがあるか分からないし、最初の一歩は決めつけないこと、まずは何かをやってみることって大切ですね!
フリーランスになって大変だったこと。仕事が思うように取れなくて貯金が底をつきかけた。
フリーランスっていいことばかりではないと思うんですよ。Sakieさんも大変だったことや辛かったことはありますか?
ありますよ!やっぱり、フリーランスになりたての2015年1月から一年間ぐらいは本当に仕事がありませんでした。でも“今は人脈を広げる時だ”とか、“今は自分の作品を自分なりに撮り溜めていく時期だ”と思うようにして頑張っていました。それでも一時期はアルバイトもしようかな、と思って一度面接を受けに行きましたよ。
でも、ちょうど同じタイミングで海外取材の案件が初めて来て「海外に行くことが仕事になるんだ」とその時初めて知ったんです。“海外に行くことを仕事にしたい”という夢をずっと持っていたので、これを本業にしたいと思った時に、やっぱりシフト制のアルバイトだと急に取材が入った時に自由がきかないな、と思い面接を受けてから考え直したんです。それで、バイトはせずに自分のやりたいことを信じて、ひたすら腕を磨く時間にあてました。
フリーランスになる時点で貯金はしていたのか?
その時期は試練というか、いろいろとプラスになったり、気持ちがマイナスになったりと不安定だと思うんです。私も経験がありますが、モチベーションを保つのは大変ですよね。ちなみに、フリーランスになった時に貯金はありましたか?
そうですね。新卒で会社員として働いていた時に、本当に忙しくてお金を使うヒマがなかったので、お給料がほぼ減っていませんでした。
一時期は、貯金残高が数万円に…。
最初は、会社員を辞めるタイミングで声をかけてもらった月契約の企業様との仕事一本のみだったので、一度貯金残高が数万円になったことも。
でも「何とかなるさ精神」でここから頑張る!と思った翌月から、タイムリーなことに仕事が来るようになって辛い時期を凌げました。そこからは、トントントンと伸びていっていますね。
私もそうでしたが、辛い時期にどうメンタルを保って乗り越えて行くかはとても大切ですよね。ある意味、その時期が自分のスキルアップや自分を見つめ直す機会になりますよね。
お金がない時期は、お金がないからこそ「あそこへ旅行したい」とか「買い物したい」と思っていましたが、逆にそれが原動力でしたね。自分の好きなことを仕事にして稼げるようになった後の生活を思い描いて、それをモチベーションにしていました。欲望のために今この大切な時間を時給制のアルバイトに使うのか、もしくは今欲しいものや旅行へ行くことを我慢して、その分スキルアップのための時間にするか、という考え方でしたね。
たしかに、一瞬でみるとバイトした方がいいように感じてしまいますが、長い目で見た時にどっちが手に入るものが大きいか、どっちが自分の望む生き方に近いかということですよね。
そうですね。自分はどんな生活が理想なんだろう?どうやって仕事をしている自分が理想なんだろう?といった「理想とする働き方をしている自分」をめちゃくちゃたくさん考えて書き出したりしていました。
たしかに、Sakieさんはよくどうなりたいのかをメモされていますよね。
はい、書いていかないとすぐに忘れてしまいますし、目の前で嫌なこととか、お金がない状況を見てしまうと理想が崩れ落ちてしまいますからね。「こうなりたい」「こうしたい」ということは忘れないように必ず書き出しています。本当に、何でもいいんですよ。例えば、「可愛いパソコンバッグを持って、コーヒー片手に携帯で打ち合わせをしながら颯爽と歩きたい」とかでも(笑)
自分がこんな風になりたいという、ちょっとしたワクワクなどをしっかり書き出して、原動力にしていくことですよね。
そうですね。理想の姿だけを想像して頑張っていました。
フリーランスの収入の考え方。月商ではなく、年商で考えること
以前、Sakieさんに言われてすごく考え方が変わった一言があるんです。フリーランスってやっぱりその月々で収入が違うじゃないですか。良いときもあれば、「あれ?今月は全然だな」みたいなね。もうこれはフリーランスあるあるだと思うんです。
そんな時にSakieさんに、フリーランスは点で見るんじゃなくて、線で見るようにするといいよ、と教えてもらったのがとても印象的ですね。つまり、月商じゃなくて、年商で見るということなんですけど、言われてみてなるほど!って思いましたね。私は本当に目先の点の部分しか見えてなかったと思って、すごく考え方が変わりましたね。
そうですね。目の前のことに一喜一憂しがちですよね。
私もそうでしたが、特にフリーランス初心者の方だと収入の変動に自分の気持ちも一緒に変動して大変だというのはあると思うんですよね。
だからもう、フリーランスは月商より年商で考えた方がおおらかに過ごせるかなと思います。
カメラは全て独学。スキル0からのスタート
Sakieさんは、カメラの勉強のために学校とかに行かれていたんですか?
じゃあ、本当にゼロからカメラマンになりたいと思って始められたんですね!そこからどうやってカメラの腕を磨いてこられたのか気になります。ちなみに、今カメラは何を使われているのでしょうか?
今は、Canon5DMark IVを使用しています。
これでSakieさんの世界が生み出されてるんですね。ちなみに、スキルゼロからフォトグラファーとして仕事になるまで、どんな感じでスタートされたんですか?
最初はミラーレスカメラから始まり、当時はLUMIXを使っていましたね。その次に仕事でキヤノンさんのミラーレス一眼のM10をいただきました。
そこからはキヤノンさん一筋です。M10を使った時に「すごい!私、写真上手かも!」と思えるような写真が撮れるようになって、それからその写真をどんどんインスタグラムにあげていったら、キヤノンさんからM100のウェブ広告に出ませんか?と声をかけていただきました。
すごい…!キヤノンさんからお声がかかったんですね!
そうですね。それでM100のウェブ広告に出させていただいて、その後キヤノンさんのご厚意でフルサイズ一眼レフ「6D」を一年間貸していただきました。やっぱりミラーレス一眼レフとフルサイズのボディーって全然撮れる写真が違うんですよね。その時に初めてフルサイズの一眼レフを持ったのですが、高価なカメラはやっぱりすごいなと思って。そのカメラに変えてから写真の依頼がすごく増えるようになりました。
私が仕事道具に、お金をかける理由。
良いカメラを使うことによって、見てくださる方も気付くぐらい写真のクオリティも上がるんですよね。それから本当に写真の依頼が増えるようになりました。それで2019年の3月にお借りしていた6Dをキヤノンさんに返却したタイミングで、もう1ランク上の5Dを自分で購入しました。
すごいですね…。カメラを通して歴史を感じますね。カメラをアップデートするために、仕事も増えてどんどんアップデートされてると思うと面白いですね。
本当に、仕事道具にはお金をかけるべきだなって心から思います。
仕事道具は先々の仕事の投資にも、原動力にもなる。
そうですよね。それは深く共感します。そういったお金はなくなるものではなくて、自分の先々の仕事への投資ですよね。
はい。なので、初期投資は絶対にした方が良いです。パソコン、タブレット、カメラ…など最初はかなりのお金が飛んでいくと思うのですが、そこでためらわず「これは自分への初期投資だ」と思いながら、お金を使うことによって絶対リターンが来ます。私も今のカメラとレンズを買ったときは、「うわっ、何て高いんだ!?」っと思ったのですが、「それを原動力にして絶対1ヶ月でこのカメラ代分稼いでやる!」という気持ちが芽生えたので、仕事道具には惜しみなく投資した方がいいです。
やっぱり、最初の心構えは大切ですね。
料理するにも調理器具が違うと全然出来上がるものが違うと言いますし、最初の仕事道具への投資は大切ですね。
仕事で一番大切にしていることは、体調管理とメンタルの管理、断る勇気。
Sakieさんは、いつもどんなことを心がけて仕事をされていますか?
一番心がけているのは体調面の管理ですね。私個人の仕事になるので、自分が体調を崩してしまうと元も子もないですから。海外出張も多いですし、時差もあったりして結構乱れた生活を送っているのですが、絶対に風邪をひかない、絶対に体調を崩さない!という気合だけはいつも持っています!
すごいですね。体調管理というとよく食べて、よく寝るなどですか?
はい。あと大切なのは、身体とメンタルはつながっているので、メンタルに負担をかけないよう自分が苦手なことはしないと決めています。いただいた仕事でもこれは適任ではないなと思ったものは、ちゃんと断るようにしています。
でも、難しいですよね。自分に来てくれた仕事だから断ったらもったいないんじゃないかとか思ってしまいますけど、出来ない仕事は断る勇気も大切ですね。
やっぱり仕事の内容によっては、自分ではない方が絶対うまくいくと思ったり、違う人にやってもらった方がより良くなるのでは、と思うことはあります。そもそも、条件面が合わないことは無理をしてまでやらない方がいい、と思っているので、自分のメンタルを崩さないためにも断る勇気を持つようにしています。
あとは夜に出歩くことがすごく苦手なので、なるべく夜に予定を入れないようにしています。打ち合わせは午前中やランチの時間か夕方までに終わらせて、潔く帰るということを徹底しています。無駄な用事は入れないようにスケジューリングしてたり、日々のメンタル面と健康面のバランスは取るようにしています。
やっぱり心と体のバランスですよね。最初のうちは自分の限界が分からないので、踏ん張らないといけないと気合入れて頑張ったりしますが、やっぱり無理し過ぎないというのは、ひとつのキーワードだと思いますね。
会社員のときの方が、始業時間と就業時間が決まっていたので切り替えは出来ていましたが、フリーランスになってからは朝早く起きて、深夜3時までとか起きていつまででも仕事をしてしまいますね。気づいたら「なんかめちゃくちゃ仕事してるな」という状況が結構今でもありますね。
クライアントからの通知とかを見ると気になってしまいますが、フリーランスの場合は、オンとオフ、メリハリが大事ですよね。
なので、最近は土日を休みにするために、土日まで仕事を持ち越さないように計画を立てて、うまく工夫しながら進めていますね。
視聴者さんからのご質問&回答
大学時代は学んでいたことは仕事に活きている?
大学時代は総合的な学部だったので、経済や経営、心理学などを幅広く学んでいました。でも正直言って、今の仕事をしていく上で、その授業で役に立っていることはあまりないですね。それよりかはバイトで貯めたお金で海外へ行くということをずっと繰り返していました。その実体験の方が活きていますね。
写真を撮るときに大切にしている、“光”と“影”
大事にしていることは、光と影。あとは、見てくれた人が想像しやすい写真を撮る、ということを一番大切にしています。その写真を見た時に、ここに行ってみたらどんな気分になるだろう?とか人が想像しやすい写真を撮るように意識しています。
いい写真を撮るよりも大切なこと
いい写真というのは本当に人それぞれだと思うので、いい写真を撮ろうとするのではなく、自分の世界観や頭の中にあるものを表現していくことを意識して撮影しています。
自分の好きな世界観の写真ってあると思うので、自分がどんなものを撮っていきたいかということや「好き」をブラッシュアップしていくことは大切なことなのかもしれないですね。
そうですね。自分がどんなものが好きで、どんなものに惹かれるのか?というところはいろんなものを見ていくと結構ハッキリ見えてくるので、注目してみるといいかと思います。例えば色に注目してみたりとか、美術館とかに行って作り手の気持ちになって考えるとすごくいい練習になりますし、自分の作品に活きてくると思いますね。
自分の作品を知ってもらうためにできること
自分の作品を伝えるためにしていることはありますか?
フォトグラファーでもデザインでも何でも同じことが言えると思いますが、自分の作品を人に見てもらう機会や場所を増やすのは本当に大切だと思います。これで仕事をしていますというアピールをするためにも、ポートフォリオを作るのはおすすめです。
ポートフォリオに載せる写真には世界観を重視
ポートフォリオに載せる写真やSNSに公開する写真を選ぶ基準はありますか?
自分の世界観がちゃんと伝わるようなものを選ぶようにしていますね。仕事で撮影したものをすべてポートフォリオに載せている訳ではなくて、自分の世界観や雰囲気と合うようなものだけを選んで載せています。載せる基準は報酬が発生しているかどうかではなく、自分自身で作りたいものを作って作品として載せていく、のがいいと思います。
仕事を依頼する側にもこの人はどういう人なんだろう?どういう作品や世界観を持っている人なんだろう?と判断基準を与えることにもつながりますよね。
今からフリーランスを目指すのは、レッドオーシャン?
2人のような優秀なフリーランスの方はたくさんいると思うのですが、今からフリーランスを目指すのはむずかしいでしょうか?
全然そんなことないですよ!むしろ、今からじゃないですか?
私もそう思います!むしろ、時代の風潮的にも働き方が多様化しているので、フリーランスとして活動しやすくなってきたと思いますね。
何事も今からスタートして遅いということはないと思います。それよりも、どう始めていくかということと覚悟の方が大事ではないでしょうか。
これまで最もやりがいがあった仕事
フリーランスになって最もやりがいあった仕事や思い入れがある仕事は何ですか?
かなりたくさんありますが、特に思い入れのある仕事が2つあります。
1つは、好きだったブランドから写真を撮ってほしいと連絡がきたことですね。もう本当に、天にも昇る気持ちで報酬なんていらない、と思いましたね。
SNSで発信していたからこそ掴めたアメリカン・ドリームのような話
2つ目は、ニューヨークにすごくお気に入りのバーがあるのですが、そこを訪れた際に写真を撮ってインスタに載せていたら、そこのアートキュレーターの方が「君の写真、すごくゴージャスだから、うちに写真を撮りに来てくれないか」という連絡をくれたんですよね。
もうドキドキしながら行って、とてもいい経験になりました。
本当に、アメリカン・ドリームみたいなすごい話で夢がありますね!
フリーランスになるんだったら、どの職業でもSNSでの発信はマストですね!
そうですね。SNSを武器にできないとすごくもったいないなと思います。発信していかないと自分が何者か?なんてことは誰も知る機会がないので、どんどん発信して気付いてもらうことが大切ですね。
うまくいかないって言ってる人とかに共通するのは、多分みんな気づいてもらえていないだけなのかなと思いますね。まずは、自分の活動を認知してもらうために、発信方法や発信する媒体を見つけて、とりあえず発信していくいくというのが一番大切だと思います。
自分の商品の料金設定に関するアドバイス
自分の商品の料金設定はどうしていますか?アドバイスをお願いします。
値付けってむずかしいですよね。私の場合は、低めから始めて少しずつ上げていったタイプです。自分がお客さんの立場になった時に、いくらなら満足できるかを考えて決めていますね。あと、自分がこのお金をいただいて、本当に心から頑張ろうと思える金額設定にしています。
私の場合、広範囲で何でも受けるのではなく、最初から自分の世界観を決めて、ニッチ層に刺さるようなブランディングをして仕事を絞るようにしています。そうすると、「あなたにお願いしたい」と指名されるようになるので、必然的に価格が上がるんですよね。
なので自分の世界観を確立していくといった最初のステップはかなり大事かなと思います。
どんな写真を撮るのかというところを細かく決めて、ニッチ層にアピールしていくってことですよね。たしかにそうすると必然的にそういう写真が撮れる人が少なくなるから、この人お願いしたい!となりますよね。
広範囲の人に刺さるような色んなデザインとかいろんな写真は撮らなくていいと思っていて、本当は誰に届けたいのか、というところが一番大切だと思います。それがハッキリしているほど、そのターゲットの人に届きやすいと思うので、そこから値段設定を考えてもいいかもしれないですね。
最初のターゲットを決めるところは、本当に大切ですね。今の時代、低いか、高いかのような価格の二極化になっていて、中間の価格は選ばれないと言われてるので、自分に自信を持って価格設定をしてほしいと思います。
これからフリーランスを目指す人へのメッセージ
最後にこれからフリーランスを目指す方へメッセージをお願いします。
フリーランスは自分が主体の働き方なので、今がチャンスだ!と思った瞬間や感覚を大切にして、自分なりに判断して仕事をしていってほしいなと思います。
そうですね、自分のワクワクする感覚や直感を大切にしていきたいですね!それでは、本日はありがとうございました!
編集後記
フリーランスフォトグラファーとして活躍するSakieさんから、スキル0からフリーランスになった経緯や人脈を広げ、段階を踏んでプロとしてキャリアを積み上げていく方法を伺いました。
Sakieさんの具体的なエピソードや前向きなメッセージの数々から、これからフリーランスを目指していかれる方はもちろん、すでに駆け出しフリーランスとして活動されている方にとっても、気づきや勇気をもらえる言葉がたくさんあったのではないでしょうか。
最初は、誰しもが未経験からのスタートです。今ではプロとして世界中を飛び回るSakieさんも、6年前はフリーランス1年生で未経験からカメラを勉強する一人の女性だったと思います。
0から1を積み上げるのは簡単なことではないでしょう。しかし、必要なステップを重ねて、諦めずに続けていけば見えてくる景色がきっと変わってくるんだということをインタビューの中で話されており、個人的にもとても勇気をもらいました。
ぜひ、皆さんも努力の先にある、自分の理想とする輝かしい未来に向かって日々頑張っていきましょう!(文/Kaho)