2014年、日本の手漉き和紙技術が無形文化遺産に登録されました。
その技術が海外でも注目を集めるとともに、環境問題の観点からも非木材紙である和紙が再注目されています。
無形文化遺産に登録された和紙
- 島根県浜田市の「石州半紙(せきしゅうばんし)」
- 岐阜県美濃市の「本美濃紙(ほんみのし)」
- 埼玉県小川町、東秩父村の「細川紙(ほそかわし)」
和紙は見た目や手触りで判断できる方も多いと思います。
和紙には次のような印象があるかなと思います。
- なんとなくザラザラしてる
- 1枚の紙の中にちょっと薄い部分や厚い部分があったりと不均一
- やわらかくしなやか
- 手作り感がある
身近なものでいうと障子紙や半紙、あとはお札も和紙でできています。
「なんとなく和紙を判断することはできるけど、具体的に普通の紙と何が違うかはよく分からない」という人もいると思います。
今回はそんな和紙の原料、洋紙との違い、作り方についてご紹介いたします。
和紙の原料
楮(こうぞ)・・・クワ科の落葉低木
三椏 (みつまた)・・・ジンチョウゲ科の落葉低木
雁皮(がんぴ)・・・ジンチョウゲ科の落葉低木
和紙はこれらの靭皮(じんぴ)を使って作られます。
靭皮は植物の外皮の内側にある柔らかい内皮です。
靭皮繊維は木材繊維よりも繊維が丈夫で長いため、丈夫で保存性に優れた紙を作ることができます。
竹や麻などそのほかの植物も和紙の原料となります。
和紙と洋紙の違い
原料の違い
和紙は基本的に非木材パルプ 主に木の皮が原料です。
洋紙は基本的には木材パルプ もちろん非木材パルプの洋紙もあります。
原料が落葉低木なのに非木材紙?
原料は落葉低木で「木」ですが、通常の洋紙のように木を切り倒して作る木材パルプとは全く異なります。株元から複数の枝を伸ばした背の低い木で、枝を切ってもまた新しい枝が生えてきます。
(身近な植物だとあじさいが低木です。あじさいも株元から枝がたくさん生えてますよね。)
繊維の違い
原料の違いから繊維の特徴も異なります。
和紙は繊維が長く強いので、薄くても丈夫な紙を作ることができます。
環境にやさしい和紙
通常の紙を作る木材パルプは安価かつ安定的に大量の紙を作るのに適していますが、森林保全の観点から近年木材パルプを使わない紙を選ぶ人が増えています。
非木材紙という言葉もよく耳にするようになりました。
和紙の原料である楮(こうぞ)は、枝を切っても切った後から新しい芽が生えてきます。
木を切り倒すことがなく、毎年収穫することができる原料で作る和紙は環境にやさしい紙といえます。
下記では環境にやさしい紙を紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
和紙の作り方(手漉き和紙)
少し大変ですが、同じ工程で家庭で紙を手作りすることもできます。
楮やミツマタなど定番の和紙の原料が手に入らなくても、身近にある木の枝で作ることもできます。楮と同じクワ科の桑の木などでも作れます。
- 原木を蒸す
和紙の原料として使うのは木の皮の部分です。
皮を剥がれやすくするために原木を蒸します。 - 皮剥ぎ
原木から皮を剥がします。
原料となる靭皮(じんぴ)というは植物の外皮の内側にある柔らかい内皮だけにするため、黒皮(表皮と甘皮)を剥がします。 - 煮熟(しゃじゅく)
ソーダ灰と一緒に煮ることで和紙づくりに必要な皮の繊維だけを取り出します。 - 叩解(こうかい)
水と混ぜながら叩くことで長い繊維を細かくほぐします。 - 舟水作り
水槽に原料となる繊維・水・とろろあおい(のりの役割)を入れます。 - 紙漉き
小学校の校外学習などで体験したことがある人もいるかと思います。
船と呼ばれるすだれが強いてある木枠を溶液の入った水槽に入れて紙を漉きます。
漉き上がった紙は1枚ずつ積みさねます。この紙を積み重ねたものを紙床(しと)といいます。 - 圧搾
紙床の上から圧力をかけて水気を絞ります。
圧搾することで紙の繊維が密着します。
(和紙の種類によっては圧搾しないものもあるようです。) - 乾燥
紙床から剥がして乾燥させて完成です!
和紙といえば手漉き和紙を思い浮かべる人が多いと思いますが、機械漉きでも和紙は作られています。手漉き和紙と異なりロール状の和紙が作られますが、作り方は手漉きと大きく変わりません。
さいごに
以上、知ってるようで意外と知らない和紙の原料・洋紙との違い・和紙の作り方についてご紹介しました。
和紙はその製法と環境にやさしい原料から注目を集めています。
和紙をはじめさまざまな環境に配慮した用紙があり近年、環境問題への注目の高まりから印刷用紙の選び方が変わってきているように思います。
「値段」「品質」「見た目」よりも「原料」「生産地」「環境への負荷」を重視されています。
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また、印刷通販ベストプリントでは環境にやさしいFSC®認証紙を取り扱っております。 こちらも合わせてご覧ください。
今回の記事が少しでも印刷ライフのお役に立てれば幸いです。