インタビュー

「voyage letterpress」インタビュー『活版印刷の面白さを伝えたい』

「voyage letterpress」は茨城県水戸市の印刷会社「きど印刷所」が今年1月に立ち上げた活版印刷に特化した新たなブランド。オリジナル商品販売やワークショップの開催を通じ、活版印刷の魅力を伝えている。今回は「voyage letterpress」の打越美和子さんにお話を伺いました。

活版印刷機は全部で何台くらいあるんですか?

自動の印刷機が1台と手動のものが4台あります。

ーたくさんあるんですね。

はい。レトロな機械をみるとついほしくなってしまい、増えました(笑)

ー活字もあるんですか?

はい。この活字は本当に昔から使われていたものなんです。
日本語で揃えると、文字の大きさだったりフォントだったりものすごい量になります。それを保管するのは本当に大変なので、ここではそれはできていない状態です。アルファベットだったり使えそうなひらがなやカタカナ、またワークショップで使えそうな文字を揃えて保管しています。

今はデジタルデータで版が作れるので、パソコンで作ったデータで凸版を作ることもできます。例えばロゴだけ凸版で作って、封筒や名刺などにロゴマークを活版で印刷することもできます。

名刺の版は名刺サイズになってます。
今はデジタルデータでお客様に校正を確認いただくことができますが、昔は校正の際に「字をちょっと小さくして」となったら活字1つ1つを全部組み替えてなければいけないので、ものすごい手間だったんですよ。今は気軽に作れる様になってます。写真から版を作ることもできる様になってます。

活版印刷の事業を立ち上げた理由を教えてください。

「きど印刷所」はオフセット印刷を主流とし、今年で87年になります。大量に印刷して役目が終わったら捨てられるという、その印刷物のあり方に、ここ何年か疑問を抱いていました。
捨てられる運命のものを一生懸命作っているっていうことに対し「それでいいのかな」という思いがありました。仕事としてそれが成り立ってはいるのですが、印刷というもののあり方に疑問を感じたりしていました。

もともとうちに古い活版印刷機があったということもあって、活版印刷機を使って一過性の印刷物とは違う、人の手に渡ったときに「すごい」とか「素敵だね」という感動が生まれる様なそういった印刷物を作りたいなっていう思いがあり、少しずつ活動をしていました。

数ヶ月前に活版に特化した「voyage letterpress」というブランドを立ち上げました。VOYAGE(ボヤージュ)には「旅をする・航海」という意味があります。

 

作った印刷物が大事に誰かの手に渡って旅をする、そんなイメージがあったり、自分たちがいろんなところに出向いていって印刷の体験をしていただく、自分たちが旅をするっていう意味合いもあります。
小さい活版印刷機だと電源がいらないので、いろんなところにもっていけるんですね。ちょっと重いですけど、電気がいらないので野原でワークショップができたりするんです(笑)

あとは世界中の紙を集めたいなと思ってます。世界にはいろんな紙があります。イタリアで漉かれている手漉きの紙だったり、フランスやアメリカだったりと、昔から手漉きの紙が各地で作られているので、世界中の紙を集めてここに来ただけでちょっと旅した気分になれる様にしたいなとも思っています。
そんな色々な意味も込めて「voyage letterpress」という名前にしました。

ー現在はどの様なお客様が多いですか?

個人で活動されている方が多いなという印象はあります。

企業様にもご利用いただいてます。まとめて社員の名刺を頼んでくださった例では、表面は活版で印刷して、裏面は社員情報をデジタル印刷というオーダーをいただいています。活版印刷だけでなくお客様のニーズに合わせた対応もできます。

ー1番注文が多い印刷物の名刺ですか?

そうですね、今のところ名刺が一番多いです。

ショップカードとかすごくオシャレにできるのでそういったものでもぜひ作っていただきたいなと思っています。いろんなショップカードを見かけると「素敵だな」と思うんですけど「これ活版で印刷したらもっと素敵だな」といつも思うんです(笑)

ちょっと圧がかかるだけで見た目の印象がグッと深いものになるので、そういった魅力を伝えていけたらなと思っています。

ーチラシ印刷もできるんでしょうか?

チラシ用の紙は活版印刷には薄いんです。

紙が薄いと圧がかかりづらいんです。かすれ感とかちょっとしたレトロな雰囲気を出すっていうのにはすごくいいんですけど、凹凸を出すには厚みのある紙で印刷した方がよいので、チラシで活版の凹凸感を出したいとなると少し難しいです。
紙選び方からお客様と一緒にお話をさせていただいて、作りたいものにあった紙をご提案させていただいています。

ーいろんな紙から選べるんですね。

そうですね、本当にいろんな紙があるんです。厚紙といっても色がついていたり、キラキラしている紙だとかいろんな紙があります。

ー紙は何種類くらいあるんですか?

うちは印刷所をやっている関係で紙屋さんとも繋がりがあり、その都度紙屋さんに相談してるので、紙屋さんに揃っている紙だったらどんな紙でも大丈夫です。いろんな種類を揃えることができます。

おすすめの活版印刷の商品はなんですか?

名刺もショップカードもおすすめなんですけど、いまはインスタグラムやSNSが主流になっているのでSNSのQRコードを載せたカードがおすすめです。最近は個人情報保護の観点から住所や電話番号を紙に印刷することに抵抗がある方も増えているので、そういった方にもおすすめです。

ー伝統文化と今の文化を合わせたような感じですね。

本当ですね。昔だったら活字でこういったQRコードを印刷することはできませんが、デジタルデータだから作ることができるようになってます。

また、和紙にも印刷することができますので、非常に質感のある素敵なアイテムができます。和紙と活版印刷の相性はとてもいいのでオススメです。
ちょっとしたメッセージカードも温かみのある雰囲気になりますよね。
ネットショップ(voyage-letterpress.stores.jp)でも販売しています。

本当に(デザインの)幅が広がっているので、思いついたアイディアとか「こういうのできますか?」など、どんどん聞いていただければと思います。

活版印刷をやっていて大変なことはありますか?

はい。活版印刷はアナログな所が魅力の1つですが、圧のかかり具合だったり、インクの乗り具合だったり、紙も位置がちょっとずれてると斜めになってしまったりとか、1枚1枚に気をを配ってきれいに印刷できているかを確認しながら印刷します。

かすれ感などもそれが活版印刷の味だったりするので許容範囲はあるんですけど、1枚1枚手作業で刷っていくので「気を使っている」というのが一番大変なところではあります。

ですから仕上がったものをお客様に見ていただいて「すごい!」とか「予想以上でした」など喜んでいただけた時が一番うれしいし、やりがいを感じますね。

コロナ禍で影響は出ていると思いますが、対策や工夫していることがあれば教えてください。

ワークショップでたくさん人を呼びたいと考えていたんですけど、今なかなか難しい時期になってしまいました。お客様が体験に来てくださる時は人数制限や手袋・マスクなどの感染症対策を行っています。

出店予定だったイベントも延期になったりと、なかなか思うようにいかないですね。

ーワークショップは開催しているんですか?

インスタグラムで案内していて、個別でDMをいただければ感染症対策をした上でワークショップをしていただくことができます。

現在はコースターを作っていただくことができます。
活字で文字を組んでオリジナルで版を作っていただき、印刷します。デジタルデータは事前に用意がないとすぐにはできないので、ワークショップでは用意している活字を使って好きなデザインで作っていただいてます。

ーこのコースターは1文字1文字楽しんでいる様子が伺えますね。

ありがとうございます。わざと大きさが違うフォントを使ったり、わざとバランスを崩した感じにしたりして遊べるんです。きれいに文字を揃えたいというのもあると思うんですけど、遊びを入れることでそこにオリジナルのセンスが出たり面白いアイディアがでたりするので、ぜひ体験していただきたいなと思います。

今後の展望や目標を教えてください。

活版印刷の魅力を少しでも多くの方に知ってもらいたいです。

活版印刷の名前を聞いたことがない方や名前は知っているけど実際どんなものかよく知らない方、もしくは昔の活版印刷を知ってるという方にも、幅広く改めて「活版印刷の面白さ」を知っていただきたいという思いがあります。

ここでのワークショップをはじめ、カフェやギャラリーとコラボしてワークショップができるようなイベントも今後やっていきたいと思ってます。
これもコロナが収まらないとなかなか出来てないところなんですが、新しいお客様に来ていただきたいお店と活版の魅力を伝えたい私達とでお互いにメリットが出るような形でやっていきたいなと思っています。


voyage letterpress
URL:voyage-letterpress.jimdosite.com/
住所:水戸市見川町2558-21
株式会社きど印刷所 内
TEL:029-241-2525
FAX:029-241-2559
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