アートインタビュー

染色ユニット『kata kata』インタビュー「物語を想像できるような、会話が生まれるデザインを心がけて」

型染め、注染、プリントによるオリジナルの染布を制作する染色ユニット『kata kata(カタカタ)』。動物や植物をモチーフにした、どこか懐かしく温かみのある作風。企業とのコラボ作品も多く、街中で彼らの作品を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。今回は『kata kata』さんに、作品の作り方や作品への思いを伺いました。

『kata kata』はどのような活動をしていますか?

松永武、高井知絵の二人で、染色作家としてユニット活動をしています。型染めや注染(ちゅうせん)といった伝統的な染色技法でオリジナルの作品を作っています。

最近は2021年の干支にまつわる作品を作っています。
恒例になっている干支の手ぬぐいや、カレンダー、ポストカードは、毎年楽しみに待っていてくださるお客様もいて、一年の締めくくりの仕事になっています。9月10月になると「もうこんな時期か」と驚きながらも作業をしています。

通常の作家活動の他にも、お声がけいただいた企業さんとのコラボやデザイン提供のお仕事も積極的にお受けしています。
化粧品・健康食品のメーカーさんのキャンペーングッズのデザインや、住宅メーカーさんのカレンダー、お菓子のパッケージなど、普段布上にデザインしている『kata kata』の作品を違う素材上で表現できるいい機会になっています。

染布制作を始めたのはいつ頃ですか?

美術大学の授業で型染めを学んでから、クラスメイトだった2人で大学在学中にユニットを作りました。
在学中に東京の色々な美術大学の学園祭で手染めの作品を販売して、その評判を受けて、真剣にライフワークにしたくて試行錯誤してきました。
もう16年以上前の話です。

作品を作る上で心がけていることはありますか?

モチーフの動物、昆虫、植物、風景に具体的な「物語」を想像しながらデザインしています。
布を広げた時に、手にとってくださる方々も「物語」を想像できるような、会話が生まれるデザインを心がけています。

ご依頼いただいくお仕事も、幸運なことに『kata kata』の作風を存分に発揮できる企画をご提案いただくことが多いです。
自分たちの作風や作業工程にご理解いただいた上でお話しをいただくので、作家冥利に尽きます。

作品ができるまでの工程を教えてください!

図案のスケッチは日頃から描きためてありますので、心が決まれば、型紙を彫り始めます。型紙はサイズにもよりますが、3日もあれば彫り上がります。
細かい型紙は時間がかかりますが、型紙を彫ることが楽しくて苦にはなりません。

糊を生地に置いてゆく「糊おき」という工程には、事前準備と干すことも入れれば、2日程かかります。布を天日で乾かす、待つ時間も大切な工程です。

湿気が多く、天候が悪ければ作業が進まず、乾燥している時期は作業がはかどります。

糊が乾いたら、染料を塗ります。
手の平よりも大きい刷毛でベースとなる色をまんべんなく塗っていきます。

色の濃度によって染料を置く回数が変わってきます。110cmx6mの布に染料を引くのに、大体20分ほどかかります。
まずは手早く一気に染めます。糊がのっている部分は色が入らず染まりません。

他の色を入れる場合は、方法が色々あるのですが、今回は「色挿し」の方法を紹介します。小さい刷毛に持ち替えて、湯飲みに入れた染液をベースを塗った上から優しくこすって色を乗せていきます。

こちらも図案によって作業時間が変わってきますが、染液を乾かしながら1~2時間程かけて作業します。どこにどの色を入れるか、記憶違いをしてしまうこともあって、ごまかしが効かない工程なので、集中して行っています。

すべての色を染め終えたら、また乾かして、色止め液を塗って、また乾かして、蒸し機で30分ほど蒸し、色を定着させてから、一晩水につけてパリパリだった糊をふやかします。

その後は、水の中で布を細かくゆすって完全に糊を洗い落とします。布をつかんだ手で、腕を激しく左右に振るのですが、水の抵抗もすごくて、良い筋トレになります(笑)
張り手という、布を引っ張って伸ばす道具を使って、布を乾かして完成です。

そこから製品化したり、大きなクロスとしてそのまま販売したりします。

お気に入りの作品を教えてください。

注染手ぬぐいは作家活動を始めた頃からずっと作り続けています。

手ぬぐいの限られたサイズ内に、型染め特有の制限(丈夫な型紙を彫る際にはそれぞれのカタチが密接しないといけない、など)を踏まえて、どう型紙に落とし込むかを考えながら作業するのがおもしろいところです。

今まで作ってきた手ぬぐいはすべて「制限」と「自由」の間に生まれたものなので、見返してみると、制作当時の自分たちの葛藤がよみがえる感じがします。

現在のコロナ禍において、仕事の変化はありますか?

アトリエショップの営業はお休みする期間がありましたが(現在は通常営業)その分、制作時間がたっぷりと取れました。

コロナの影響で対面販売の機会は減りましたが、SNSやオンラインショップをフル活用しているので、実はコロナ禍以前よりも密にお客様とつながっている様に思います。

ただ、やはり手染めの作品は独特な風合いを手にとって見ていただきたいので、早く各地でのイベントに積極的に参加できるといいな、と思っています。

今後挑戦したいことはありますか?

コロナ禍以前から国内外での展示やイベントのお話をいただいているので、現状が好転するのであれば、ぜひ各都市を巡りながら、型染め作品の紹介をしつつ、各地の美味しいものを食べたり、美しいものを見てまわりたいです。

イベントや展示の予定があれば教えてください!

手紙社さんのオンラインイベントへの出品を控えています。

「新しいオンラインフェスティバル・もみじ市」
10月12日(月)〜10月24日(土)
https://momijiichi.com/

その他にも、岡山県と京都府でも個展、ポップアップショップを予定しておりす。お近くの方はぜひお越しください。
新作のご紹介盛り沢山になる予定です。

TSUTAYA BOOKSTORE 岡山駅前
岡山県岡山市北区駅前町1-8 ICOTNICOT 2階
10月23日(金)~11月6日(金)(布製品中心の作品を出品)
12月1日(火)~12月31日(木)(紙製品中心の作品を出品)
https://www.tsutayabookstore-okayamaekimae.jp/

cozyca products shop HIRAETH 2階ギャラリー
京都市中京区河原町夷川上る指物町322
11月4日(水)〜11月15日(日)(月曜定休日)
https://cozycaproducts.net/


今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のためメールでインタビューにお答えいただきました。丁寧にご回答いただき本当にありがとうございました。

kata kata /染色ユニット

アトリエショップ
東京都調布市西つつじヶ丘4-23-35号棟 神代団地商店街104
営業時間:11 : 00〜18 : 00
定休日:月・火
TEL:042-444-8438

オンラインショップ
https://katakata04.shop/

Instagram
https://www.instagram.com/katakata.jp/

 

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